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「銭泡記」が電子書籍になりました [電子書籍]

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銭泡記 太田道灌暗殺の謎」がアマゾンのキンドルで電子書籍として発売されました。
よろしくお願いいたします。


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目次 [目次]

 

序章 ‥‥‥

箱根湯本にある早雲寺から『銭泡記』と題された古文書が発見された。

1.江戸城 ‥‥‥

強い日差しを浴びて、海がキラキラと輝き、船の回りをカモメが楽しそうに飛び回っている。色あせた墨衣を着た僧侶が懐かしそうに、船の上から陸の方を眺めていた。

2.梅花無尽蔵 ‥‥‥

懐かしい顔振れだった。十年前とほとんど変わっていない者もいれば、やけに老けた者もいる。十年の間に様々な悲しい事もあっただろうが、そんな事は忘れて、皆、銭泡の再来を歓迎してくれた。

3.夢庵肖柏 ‥‥‥

銭泡は夕暮れ近くの一時、ぼうっとして海を眺めていた。潮風が気持ち良かった。海を眺めながら、こんな事をしていていいのかと思っていた。万里との話から急に家族の事を思い出し、その時の心境も思い出していた。

4.越生の自得軒 ‥‥‥

河越城から五里程西に行った所に越生という所がある。山に囲まれた小さな町で、戦死した将兵の霊を慰めるため、将軍の命で建てられた曹洞宗の禅寺、龍穏寺がある。その龍穏寺の側に道灌の父親、道真の隠居所である自得軒はあった。

5.道灌の側室、およの ‥‥‥

暑い日の昼下り、銭泡は道灌の家族の住む香月亭を訪ねていた。香月亭には側室のおよのと道灌の子供たちが住んでいた。道灌の奥方様は家臣たちの奥方たちと連れ立って、遠く紀伊の国まで、熊野参詣の旅に出掛けているという。

6.お志乃 ‥‥‥

江戸に来て、一月余りが過ぎた。銭泡は道灌が十年間の間に集めたお茶道具の鑑定をしたり、道灌の家臣たちのお茶会に出掛けたり、万里と一緒に浅草にお参りに出掛けたり、道灌と船遊びをしたり、毎日、楽しく暮らしていた。

7.駿河の竜王丸 ‥‥‥

銭泡は泊船亭の縁側に座って、海の絵を描いていた。昔から気が向けば時々、絵を描いてはいたが、八年程前、周防の国の山口に行った時、画僧、雪舟と接してから、益々、絵に興味を持って行った。

8.糟屋のお屋形 ‥‥‥

扇谷上杉定正のお屋形は大山の山裾の丘の上にあった。お屋形へと続く大通りに面して城下町といえる町並があるが、道真の言った通り、江戸の城下とは比べられない程、淋しいものだった。

9.竜仙坊と風輪坊 ‥‥‥

道灌の遺体は城下に住む河原者らによって、近くの洞昌院に移された。銭泡を初め、道灌の供の者たちも皆、洞昌院内の宿坊に移った。鈴木兵庫助は道灌の死を伝えるため江戸城へと向かった。

10.七人の山伏 ‥‥‥

川の上を朝靄が流れている。朝早く、糟屋の城下のはずれの河原に七つの死体が並んでいた。皆、山伏だった。一晩、放って置いただけで異臭を放ち、傷口には虫が群がっていた。

11.仲居のお紺 ‥‥‥

道灌の葬儀は洞昌院にて、ひそやかに行なわれた。道灌の供をして来た者たちと扇谷のお屋形、上杉修理大夫定正と弟の刑部少輔朝昌、定正の重臣たち数人の見守る中、道灌の遺体は荼毘に付された。

12.曽我兵庫頭 ‥‥‥

扇谷上杉定正のお屋形へと続く大通りに面して武家屋敷が並んでいる。その中でも特に大きな構えの屋敷が一つある。定正の重臣、曽我兵庫頭の屋敷だった。兵庫頭は扇谷上杉家の重臣ではなく、定正直々の家臣だった。

13.不審な下人 ‥‥‥

竜仙坊は江戸に、風輪坊は駿河に帰って行った。これ以上、ここにいてもしょうがない。殿の首の行方を追うと言って竜仙坊は去り、風輪坊は竜王丸の事が心配だと駿河に向かった。銭泡一人が糟屋のお屋形に取り残されてしまった。

14.狙われた銭泡 ‥‥‥

道灌の墓のある洞昌院はお屋形の北東、五町ばかりの所にあった。洞昌院とお屋形の間には、お屋形の鎮守である山王社の森がある。帰り道、その森の側を通った時、銭泡は見慣れない山伏と擦れ違った。

15.桔梗の花一輪 ‥‥‥

銭泡は曽我豊後守の率いる百人余りの兵と共に江戸城に向かった。豊後守は三十歳前後の若い男で、始終、渋い顔をして部下たちに文句を言っていた。

16.太田源六郎資康 ‥‥‥

肖像画を描くのは初めてだったが、道灌の肖像画なら描けると思って銭泡は描き始めた。ところが、人物というのは以外に難しかった。何枚も何枚も失敗しながら描き続けていた時、ひょっこりと風輪坊が現れた。

17.偽物の首 ‥‥‥

竜仙坊がこの位の酒で酔い潰れてしまうとはまったく以外な事だった。二升でも三升でも平気で飲めそうな顔をしているくせに、人は見かけによらないものだ。

18.道灌の首塚 ‥‥‥

糟屋のお屋形の東、一里足らずの地に道灌の叔父の周厳和尚が鎌倉から移した臨済宗の大慈寺がある。今、周厳和尚は江戸城内の芳林院にいるので、そこにはいないが、そこに道灌の首塚ができたという。

19.江戸を去る文人墨客 ‥‥‥

銭泡と万里は送別の宴に招待されては、彼らと道灌の思い出を語り合い、別れを告げなければならなかった。別れを告げる度に、この江戸もだんだんと淋しくなって行くのを感じない訳にはいかなかった。

20.消えた若殿 ‥‥‥

糟屋から突然、お屋形様が江戸城にやって来た。道灌が亡くなって一月後の八月の二十五日の事だった。大勢の兵を引き連れて、お屋形様は意気揚々とやって来た。

21.長尾信濃守 ‥‥‥

銭泡とお志乃の寝ている枕元に、音もなく現れた者があった。お紺だった。左手に笛のような物を持っている。右手の傷はまだ治らないのか、白い布が巻き付けてあった。

22.駿河の国へ ‥‥‥

道胤は少し毛の伸びた坊主頭を撫でながら、道灌の書いた掛軸を見つめていた。その姿からは以前のような覇気は感じられなかった。品川の長者と呼ばれ、太田家の中心的地位にいた颯爽たる道胤の姿はなかった。


 


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